ちょっと気になる走りの機能パーツ、ブレーキパッドとブレーキローターを試してみました。
「ちょっと気になる」というのは、それが高級高性能システムで知られるブレンボブランドながら、ブレーキパッドとブレーキローターがそれぞれ単品で販売され、純正品と互換規格となる手軽な商品アイテムだったからです。
Photo 有馬 孝則 / Text 大内 明彦
クルマ好きであればブレンボを知らない人はいないでしょう。高性能ブレーキ代名詞ともなっているブレンボは、いまや世界中のメーカーにも製品を供給する大メーカーです。そんなブレンボが作る純正リプレイス用パーツを、実際に装着。
そのインプレッションをお届けしましょう。
「ブレーキ交換だけ」で、
クルマが変わる!?
テストカーとして用意したのは、パワーがあり重厚な走行感が持ち味の日産フェアレディZ(Z34)と、軽快な走りが身上のトヨタ86という2台のスポーティーカーです。
テストアイテムは、完全ノーマルのZにはベーシックモデルとなるRedシリーズのパッド、サスペンション/タイヤ&ホイールを変更している86には、スポーツ色が強いBlackシリーズのパッドとディスクローターを準備しました。
テストの前に、ノーマル車のブレーキのフィールですが、Zは操作どおりの感覚で効いて止まる通常一般の印象。ただ、車重があるため、踏み込んでから効き始めるまでの制動Gの立ち上がりが緩やかで、いかにも重い物を止めていることをドライバーに実感させる効き方です。
一方の86は、足の強化、タイヤ/ホイールのインチアップによる回転質量の増加などにより、通常の感覚で踏み込むと、初期制動の立ち上がりが弱く、強く踏み込まないと必要な制動力が得られない感触がありました。マスターバックのアシスト量ではなく、踏力コントロールに幅もなかったことから、ブレーキ自体の容量不足を思わせるような効き方です。
対応モデルは1,100以上。
日本車用も拡充中。
対応モデルは1,100以上。日本車用も拡充中。
対応モデルは1,100以上。
日本車用も拡充中。
世界の名だたる自動車メーカーとの共同作業と、ブレーキメーカーとしての長年の経験、そして最先端の設計プロセスとその後のさまざまなテストを経て生まれたブレーキパッドとディスクローターは、性能、安全性、および耐久性に関して純正部品と同等以上の品質と性能を維持しています。
手軽に交換ができブレーキ性能の引き上げに効果的なブレーキパッドは、さすがにヨーロッパメーカーらしく、ヨーロッパ車の98%に対応する約1100アイテムをリリース。日本車への対応も拡充中で、純正品に対して性能全般を引き上げたRedパッドシリーズ、これに初期制動時のペダルタッチなどスポーツ性を加味したBlackパッドシリーズの2体系が用意されています。
一方のディスクローターは、素材や形状、構造の違いが性能におよぼす影響を重視。防蝕塗装、カーボン含有率を高めたハイカーボン製法、ベアリング組み込み型リアディスクと、長い歴史と技術を持つブレンボならではの独自製法で性能、信頼性を高めています。
ノーマル状態の試乗を終え、ファクトリーでブレーキ交換の終えた2台。ブレーキ換装後はどちらにも効果が出ています。
まずパッドのみの交換となったフェアレディZですが、制動性能、フィールともに向上。もともとブレーキ容量に余裕があるためか、パッドの摩擦力を大きくした効果が初期制動、減速、停止の制動全域で現れています。
ノーマルの制動特性に制動力を上積みするかたちになり、ブレーキ操作に違和感もなく、フェアレディZの重い車重をドライバーに意識させない制動感は、乗りやすいブレーキになったといえるでしょう。
パッドとローターを換えた86は、この組み合わせによってブレーキに落ち着き感が生まれたようです。
ノーマル時はいかにも心許ない印象だったものが、換装後はブレーキペダルの踏み込みに確かな感触が得られるようになり、踏力コントロールに幅が生じたことも確認できました。
むしろ、乗り手に踏力コントロールの幅を提供する製品のキャラクターに、Redパッドとは異なるBlackパッドのスポーツ性を見る思いがします。
冷却性に優れた独自構造のローターは、ハードブレーキングを繰り返す走行条件下で真価を発揮することになるのでしょうが、パッドとセットで交換することで、コントロール性を向上させたこの86のような相乗効果も、見逃せないポイントといえます。
今回の2台は、非常に強力なブレーキを備えたというより、純正に対して制動力、安定感、信頼性を引き上げたことに価値があると判断しました。
スポーツ系の車両はもちろん、高い動力性能を持つサルーンやミニバンでも違和感なく快適に使えるブレーキとして、走りの質、運転の質にこだわるユーザーには注目して欲しいアイテムです。
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